<出典>2016年3月24日 朝日新聞DIGITAL

特別養護老人ホームなどを運営する社会福祉法人(社福)に必要以上の財産があれば、福祉事業に還元することが義務づけられる。この規定が盛り込まれた社会福祉法改正案が、23日の参院本会議で自民、公明、民主の各党などの賛成多数で可決された。衆院に送られ、この国会で成立する見通しだ。

社福は地域福祉に貢献する非営利団体で税金が優遇されるが、過去の利益の蓄積である内部留保を本来の福祉事業に回していない法人もあるとの指摘がある。

改正案では、内部留保を施設の修繕費など事業の継続に必要な財産と、それ以外の「余裕財産」に分けて資産の内訳を明確化。余裕財産は社会福祉事業の充実に回すための計画をつくった上で、施設の新設や職員の待遇改善などに還元することを義務づける。

さらにガバナンス(統治)強化のため、評議員会を必ず置くことにする。財務諸表と役員報酬の総額を年1回、ホームページで公表することも義務づける。

介護職の人材確保策も盛り込んだ。離職した介護福祉士の届け出制度を創設して、50万人以上とされる「潜在 介護福祉士」をデータベースで把握。情報提供や研修を行いやすくして、職場への復帰を支援する。